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量子ビット

状態ベクトル・確率振幅・計算基底測定

単一量子ビットの純粋状態モデルを組み立て、複素数の確率振幅が測定確率になる仕組みを学びます。

以後の章で使う記法と確率モデルの土台を作ります。

公開中24 入門

学習目標

  • 古典ビットの値と量子ビットの状態ベクトルを区別できる。
  • 計算基底と純粋状態をディラック記法で表せる。
  • 複素確率振幅から計算基底測定の確率を計算できる。
この章の内容

学習目標

  • 古典ビットの値と、量子ビットの状態ベクトルを区別する。
  • 計算基底とディラック記法を、隠れた古典値としてではなく座標として使う。
  • 複素数の確率振幅から測定確率を計算する。
  • 「0 と 1 の両方」という説明が不十分な理由を説明する。

控えめな場面

アリスは静かな観測室に入り、0 と 1 の二つの印だけを持つ真鍮の計器を見つけます。古典的な計器なら、読まれる前からどちらか一方を指している、と考えれば十分です。しかしこの計器を説明するには、それだけでは足りません。

案内役は慎重に言います。これは気まぐれな針でも、魔法の箱でも、二つの答えを同時にしまっている装置でもありません。必要なのは、状態ベクトルとして記述することです。

古典ビットと量子ビット状態

古典ビット

  • モデル上の値は 0 または 1。
  • 理想的には、読み取りでその値を知る。
  • 確率は値についての無知を表す。

純粋な量子ビット

  • 規格化された状態ベクトルで表す。
  • 測定は、選んだ基底で一つの古典結果を返す。
  • 確率振幅と相対位相が後の操作に影響する。

量子ビットの測定結果は古典的ですが、測定前の状態そのものは古典的な結果ではありません。

古典ビットと量子ビット

古典ビットは、値が 0 か 1 のどちらかである変数としてモデル化できます。どちらか分からない場合には、古典確率を割り当てます。この確率は、値についての情報不足を表します。

一方、単一の純粋な量子ビット状態は、二次元の複素ベクトル空間のベクトルとして表されます。通常は二つの基準ベクトルを選び、それを計算基底(computational basis)と呼びます。

0,1|0\rangle,\qquad |1\rangle

測定結果には 0 と 1 というラベルが付きますが、測定前の状態が「どちらか分からない古典ビット」だという意味ではありません。

理解度チェック

「量子ビットは 0 と 1 の両方である」という説明が不十分なのはなぜですか。

二次元の複素状態空間

ディラック記法では、状態ベクトルをケットで書きます。計算基底状態は、列ベクトルとして次のように表せます。

0=[10],1=[01].|0\rangle = \begin{bmatrix} 1 \\ 0 \end{bmatrix}, \qquad |1\rangle = \begin{bmatrix} 0 \\ 1 \end{bmatrix}.

任意の純粋な単一量子ビット状態は、次の線形結合で書けます。

ψ=α0+β1.|\psi\rangle = \alpha|0\rangle + \beta|1\rangle.

( \alpha ) と ( \beta ) は複素数の確率振幅です。確率そのものではありません。複素数は大きさと位相を持ち、量子力学ではその両方が意味を持ちます。確率は、選んだ測定基底に対してボルン則を適用したときに現れます。

規格化

α2+β2=1|\alpha|^2 + |\beta|^2 = 1

完全な基底に対する確率の合計は 1 でなければなりません。

State form

|ψ⟩ = α|0⟩ + β|1⟩

|0⟩ と |1⟩ は基底ベクトル、α と β はその基底で見た状態の複素座標です。

量子ビット状態エクスプローラー

計算基底での確率

085%
115%

計算基底での測定

状態

ψ=α0+β1|\psi\rangle = \alpha|0\rangle + \beta|1\rangle

を計算基底で測定すると、ボルン則により

P(0)=α2,P(1)=β2P(0) = |\alpha|^2, \qquad P(1) = |\beta|^2

となります。測定結果は古典的な値です。理想的な射影測定では、その試行における測定後状態は、得られた結果に対応する基底状態になります。

測定確率の例
0NaN%
1NaN%

振幅が sqrt(0.8) と i sqrt(0.2) の状態では、計算基底測定の確率は 80% と 20% です。位相 i はこの一回の測定確率には見えませんが、後の干渉では意味を持ちます。

計算例

例 1: 基底状態。 ( |\psi\rangle = |0\rangle ) なら、( \alpha=1 )、( \beta=0 ) です。

P(0)=12=1,P(1)=02=0.P(0)=|1|^2=1,\qquad P(1)=|0|^2=0.

これは量子状態ですが、この測定に関しては決定的です。

例 2: 等しい重ね合わせ。

ψ=120+121|\psi\rangle = \frac{1}{\sqrt{2}}|0\rangle + \frac{1}{\sqrt{2}}|1\rangle

では、どちらの振幅も絶対値の二乗が (1/2) なので、計算基底測定では 0 と 1 が同じ確率で現れます。ただし、これは単なるコイントスではありません。相対位相は後の操作で観測可能な差になります。

例 3: 複素振幅を含む状態。

ψ=0.80+i0.21|\psi\rangle = \sqrt{0.8}|0\rangle + i\sqrt{0.2}|1\rangle

では、(0.8+0.2=1) なので規格化されています。計算基底測定の確率は (P(0)=0.8)、(P(1)=0.2) です。係数 (i) の絶対値は 1 なので (P(1)) は変わりませんが、状態の一部として残ります。

よくある誤解

理解度チェック

|ψ⟩ = √0.7|0⟩ + i√0.3|1⟩ を計算基底で測定すると、P(1) はいくつですか。

理解度チェック

計算基底測定の確率は同じでも、相対位相が異なる組はどれですか。

まとめ

まとめ

  • 量子ビットは、二次元複素状態空間の規格化されたベクトルで表されます。
  • 計算基底 ( |0\rangle, |1\rangle ) は、状態と測定を記述するための座標系です。
  • 純粋状態は ( |\psi\rangle = \alpha|0\rangle + \beta|1\rangle )、規格化条件は ( |\alpha|^2 + |\beta|^2 = 1 ) です。
  • 計算基底測定では (P(0)=|\alpha|^2)、(P(1)=|\beta|^2) です。
  • 位相は一つの測定分布には見えなくても、後の操作で重要になります。

参考文献と発展学習

  • Michael A. Nielsen and Isaac L. Chuang, Quantum Computation and Quantum Information.
  • John Preskill, Lecture Notes for Physics 229: Quantum Information and Computation.
  • Qiskit Textbook の単一量子ビット状態と測定に関する章。

章の演習

この章の内容を、短い対話型演習で練習します。

理解度チェック

古典ビットと量子ビット

古典ビットと量子ビットの状態ベクトルを区別する。

未開始

止まらない針

真鍮の羅針盤には 01 の二つの目盛りしかありません。古典的な器具なら、誰かが読む前から針はどちらか一方を指しているはずです。しかしこの針は、止まることなく二つの目盛りの間を回り続けます。

案内人は、隠れた値を当てるのを止めさせます。「羅針盤は知ってはいるが忘れているのではありません」と彼女は言います。「これは 状態ベクトル を読んでいるのです — 秘密の答えを持った古典ビットではありません。」

古典ビットと量子ビット状態

古典ビットは 0 または 1 の値を持つとモデル化されます。どちらか分からないときは古典的確率を割り当てます — それは確定した値に対する無知です。

純粋な量子ビット状態は、二次元複素空間の規格化されたベクトルです。基底ベクトルを 0|0\rangle1|1\rangle と書きます:

ψ=α0+β1,α2+β2=1.|\psi\rangle = \alpha|0\rangle + \beta|1\rangle, \qquad |\alpha|^2 + |\beta|^2 = 1.

係数は 確率振幅 であり、確率そのものではありません。計算基底での測定は、選んだ基底において α2|\alpha|^2β2|\beta|^2 の確率で一つの古典的結果を返します。

測定前の単一の純粋量子ビットに当てはまる記述はどれですか?

正しい基底状態の記法

計算基底状態を表す標準的な書き方:

0=[10],1=[01].|0\rangle = \begin{bmatrix}1\\0\end{bmatrix}, \qquad |1\rangle = \begin{bmatrix}0\\1\end{bmatrix}.

有効な純粋状態は規格化を満たす複素振幅を使います。12\frac{1}{\sqrt{2}} の係数なしに 0+1|0\rangle + |1\rangle と書くのは 規格化されていない ため、そのままでは物理的に有効な状態ではありません。

有効な規格化された単一量子ビット状態を表す式はどれですか?

    対話型の例

    振幅と規格化

    確率振幅を構成し、規格化条件を満たす。

    未開始

    未完成のベクトル

    鍛冶場は半ば形どおりのベクトルで輝いています。規格化されていない組み合わせは火花を散らして消えます — 案内人は、規格化された 状態だけが物理的量子ビット状態として準備できると説明します。

    「振幅を鍛えなさい」と彼女は言います。「完全な基底にわたる全確率がちょうど 1 になるまで。」

    振幅と規格化

    ψ=α0+β1|\psi\rangle = \alpha|0\rangle + \beta|1\rangle に対して、ボルン則は計算基底の確率を与えます:

    P(0)=α2,P(1)=β2.P(0) = |\alpha|^2, \qquad P(1) = |\beta|^2.

    規格化は次を要求します:

    α2+β2=1.|\alpha|^2 + |\beta|^2 = 1.

    ブロッホ球上で 0|0\rangle から傾けると P(1)P(1) が増えます。例えば P(0)=0.25P(0) = 0.25 のとき P(1)=0.75P(1) = 0.751|1\rangle 側に傾きつつも 0|0\rangle の振幅を保持する状態です。

    振幅と確率の違い

    振幅と確率を混同する学生がよくいます。振幅は 複素数 になり得ます。その絶対値の二乗が確率です。二つの状態が一つの基底で同じ P(0)P(0)P(1)P(1) を共有しても 相対位相 が異なることがあります — この鍛冶場では無視できますが、先の森では無視できません。

    鍛冶場が認める

    P(0)=0.25P(0) = 0.25 になると、鍛冶場はベクトルに 規格化済み の刻印を押します。隠れたビットについて 25% 当てるのではなく、測定統計の対象となる正当な単一量子ビット状態を準備しました。

      演習

      計算基底での測定

      計算基底でボルン則を適用する。

      未開始

      塔から見る統計

      測定の塔から Z 基底(計算基底)の試行を繰り返し観測します。光の点ごとに一つの結果:0 か 1。独立な準備を重ねると、頻度はボルン則の予測に収束していきます。

      案内人は、塔の観測が終わる 前に 比率を予測するよう求めます — 鍛冶場で作った P(0)=0.25P(0) = 0.25 の状態について。

      ボルン則とブロッホ球の角度

      ψ=α0+β1|\psi\rangle = \alpha|0\rangle + \beta|1\rangle に対して、計算基底測定は:

      P(0)=α2,P(1)=β2.P(0) = |\alpha|^2, \qquad P(1) = |\beta|^2.

      0|0\rangle からの極角 θ\theta をブロッホ球上で測ると:

      P(0)=cos2 ⁣(θ2),P(1)=sin2 ⁣(θ2).P(0) = \cos^2\!\left(\frac{\theta}{2}\right), \qquad P(1) = \sin^2\!\left(\frac{\theta}{2}\right).

      P(0)=0.25P(0) = 0.25 のとき、規格化により P(1)=0.75P(1) = 0.75。これは θ=120°\theta = 120° に対応します。なぜなら cos2(60°)=0.25\cos^2(60°) = 0.25 だからです。

      0 から 1 の間の確率。

      理論と頻度の一致

      塔のヒストグラムが予測に近づきます。短い系列ではゆらぎます — 10 回で 2 回や 4 回 0 になることも — しかしボルン則は 多数の独立準備の極限 を記述し、有限系列を毎回正確に約束するものではありません。

      独立試行

      塔の光の点一つ一つが 新しい準備 と一回の測定です。25/75 の分割はアンサンブルについての記述であり、4 回ごとに必ず当てはまる保証ではありません。

        チャプター確認問題

        第1章 確認問題

        基底状態、規格化、ボルン則の推論を統合する。

        未開始

        道を塞ぐ守護者

        石の守護者が量子ビット開拓地の出口を塞いでいます。「単一量子ビットモデルを理解していることを示せ」と低く響きます。「初心者を混乱させる近道なしで。」

        二つの試練が待っています — 基底の推論と、ボルン則の計算です。

        第1章の総まとめ

        この領域を去る前に、次の柱を確認してください:

        1. 状態ベクトル: ψ=α0+β1|\psi\rangle = \alpha|0\rangle + \beta|1\rangleα2+β2=1|\alpha|^2 + |\beta|^2 = 1
        2. 測定: 選んだ基底で試行ごとに一つの古典的結果。
        3. ボルン則: 計算基底測定で P(0)=α2P(0) = |\alpha|^2P(1)=β2P(1) = |\beta|^2
        試練 I — |0⟩ と |1⟩ について正しい記述はどれですか?
        試練 II — |ψ⟩ = (3|0⟩ + 4|1⟩)/5 のとき、計算基底で P(0) はいくつですか?

        道が開く

        守護者が脇に退きます。「基底を座標系として扱っている。重ね合わせの森が先にある — そこでは振幅がコヒーレントに共存することを忘れるな。」

          章の完了

          完了した演習: 0/4

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